7月の読書メーター

7月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3325
ナイス数:89

トッカン 徴収ロワイヤルトッカン 徴収ロワイヤル感想
税務徴集官のぐー子こと涼宮とトッカンこと上司の鏡のコンビのシリーズ最新刊は短編集。長編も面白いがこれくらいの分量の方がテンポがいい。「対馬ロワイヤル」はすごく面白かったけど微妙に対馬を馬鹿にしていないか大丈夫か。日常系のもいい。毎回、もうお前ら結婚しちゃえよと思うが、異動も仄めかされてるし次の長編辺りで完結だろうか。シリーズものではあるが、既刊については読んだ時の面白かった‼という気持ちしか覚えてないが問題なく楽しめたのでいきなり本作を読んでも大丈夫だと思う。
読了日:07月29日 著者:高殿 円
エヴァンズ家の娘 (ハヤカワ・ミステリ)エヴァンズ家の娘 (ハヤカワ・ミステリ)感想
現代編のジャスティーンはシングルマザー。ある日、亡くなった大叔母ルーシーから湖畔の別荘を遺贈されたことを知り、娘たちと現地へ向かう。過去編はルーシー視点で湖畔で過ごすエヴァンズ家に起きた悲劇の真相を語る。…題名から赤朽葉家を想像したが内容は他の方も書いている通り湖畔荘に似ている。読了して、作者が作中で起きた出来事をはっきりと描かないことに物足りなさがあった。が、これが作者の意図なのだろう。パトリックはDVをしているが単純な暴力ではないので自覚はないしジャスティーンも考えの視点を変えると見失いがちになる。
読了日:07月28日 著者:ヘザー ヤング
インフルエンスインフルエンス感想
友梨は同じ団地に住む幼馴染の里子と親友だったが、里子の秘密を知ってしまい、疎遠になる。その後、転校生の真帆と友人になったがある日の夜、真帆が変質者に襲われる。そこから、3人の運命は狂い始める。団地は世界そのものであるかのように広かった。しかし世界は否応なく広がっていく。…大山顕の表紙が素敵。題名は「影響力」か(ちなみ広辞苑第5版に見出しはない)。入れ子構造にした理由とそれぞれの動機が微妙。サイコパスというだけでは説明がつかないような。作家が妙に作者を彷彿させられる造形にするならもう一捻り欲しかった。
読了日:07月23日 著者:近藤 史恵
怪盗不思議紳士怪盗不思議紳士感想
時は戦後。名探偵九条響太郎はある日、怪盗不思議紳士の襲撃に逢い落命する。そんなある日、響太郎と瓜二つの大作が探偵事務所を訪ねてきた。響太郎の唯一の弟子瑞樹と、押しかけ女房の蝶子は大作を使い、不思議紳士に復讐をすべく計画を立てる。読み進めるうち、大作が実は響太郎なのではないかと混乱する。…名をもった「だれか」として呼びかけられることで、わたしは<わたし>になる…と鷲田清一は書いているが、ここまできたらどちらでもいいという気持ちになる。ある種の人物誤認トリックと言えるかもしれないし、その結びも他に類を見ない。
読了日:07月23日 著者:我孫子 武丸
「聴く」ことの力―臨床哲学試論「聴く」ことの力―臨床哲学試論感想
レポート用資料。日経の春秋欄にも引用されていた「まことのことばを知るためにこそ、私たちは語ること以上に聴くことを学ばねばならないということはないだろうか」植田正治の写真も素敵。以下印象に残った箇所の一部。第六章「ことば」を「身体的表現のひとつ」「ひとつの身ぶりであり、思考の、感情の身体としてある」。「存在のケアをされるという経験(中略)がじゅうぶんにあれば、ひとの人生はそうそうかんたんに揺らぐものではない」「じぶんで生まれたわけではないし(中略)ひとりで棺桶に入ることさえできない」
読了日:07月19日 著者:鷲田 清一
わかりやすいはわかりにくい? 臨床哲学講座 (ちくま新書)わかりやすいはわかりにくい? 臨床哲学講座 (ちくま新書)
読了日:07月19日 著者:鷲田 清一
「待つ」ということ (角川選書)「待つ」ということ (角川選書)
読了日:07月19日 著者:鷲田 清一
色悪作家と校正者の貞節 (ディアプラス文庫)色悪作家と校正者の貞節 (ディアプラス文庫)感想
作家と校正者の物語第二弾は大吾が理不尽な目に遭うの巻。物語とは別のところで校正というお仕事について興味深く読んだ。私は小説は好きだがWeb小説はあまり読もうと思わない。それは、小説というものが作者だけでなく編集、校正、など大勢の人の手を経て完成するということを一読者でしかない私が何となく気づいているからかもしれない。正直、小説なら何でもアリでいいんじゃね?と思わなくもないが。とはいえ、宙人のそれのように極端にデフォルメしたり荒唐無稽な設定で多くの読者を掘り起こすタイプの物語もある。だから読書は面白い。
読了日:07月15日 著者:菅野 彰
警察官白書 (新潮新書)警察官白書 (新潮新書)感想
「白書」と大上段に構えた割には定年後の元職場を題材にした職業エッセイに過ぎないがまぁそこは皆が関心ある警察という組織であることだしそれなりに楽しめました。作者の構想では第二弾があるようですがはてさて。市井のミステリに描かれている警察組織は嘘ばかりだというが一読者が読んでいて特に支障ないならそれでもいいんじゃないかと思うんだけどどうか。元警察官僚であり現役作家であるところを活かした話(エッセイでも小説でも)を読みたいです。
読了日:07月15日 著者:古野 まほろ
【2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】 オーパーツ 死を招く至宝 (『このミス』大賞シリーズ)【2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】 オーパーツ 死を招く至宝 (『このミス』大賞シリーズ)感想
五賞用。C。どうしてこれが受賞?との疑問には解説で大森望が答えてくれている。出来が悪いと選考委員が声を揃える話は全面書き変えをしたようだが…正直これで?しかし妙な勢いは感じる。もともとオカルトとミステリは親和性が高いし、オカルトより密室を題材にしたがっている感じがあるので逆にバランスはいいのか。ムーやらノストラダムスオウム真理教を知らない世代も多くなってきた昨今。年寄りには一周回って懐かしく、若い世代には新鮮で面白いのだろう。それなりに歩留まりのいいこのミス大賞だし、化けるのに期待しましょうか…?
読了日:07月15日 著者:蒼井 碧
BLUE GIANT SUPREME 5 (5) (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT SUPREME 5 (5) (ビッグコミックススペシャル)
読了日:07月15日 著者:石塚 真一
私の頭が正常であったなら (幽BOOKS)私の頭が正常であったなら (幽BOOKS)感想
if構文を作る時「●●であったなら××」の●●にはあり得ないことを入れるのが常道だろう。もし世界が滅びるなら財産を使い尽くす…みたいな。しかしこの題名は「正常」であることの方が確率が低いとみなしている。それって巷にありふれているキチ●イの物語かよ、と、がっかりしないでほしい。表題作の主人公がいかに自分を客観視し、且つ、物語として面白さを保っているかに驚愕してしまった。ひねりが効きすぎないのもバランスがいい。私が一番印象的な話は一話目。冷静な妻のキャラが大好きなので是非シリーズ化して欲しい。
読了日:07月15日 著者:山白 朝子
担当編集者は嘘をつく: 毎日晴天!15 (キャラ文庫)担当編集者は嘘をつく: 毎日晴天!15 (キャラ文庫)感想
シリーズも20年目を迎え、レギュラーの帯刀家とその仲間たちに新しいキャラが加わりいい感じに化学反応を起こし始めた。当座さん呼びからちゃんと名字で呼んでもらえるように格上げされた久保は秀の扱いを短時間で把握し作家としての仕事もしっかりと軌道に乗せている(それに伴うストレスは半端ないようだが有能な人っぽいしそこんとこも自分でどうにかしてるだろう)。というか作家になる以前からの知り合いであり恋人である大河の後任になるって半端ないプレッシャーだと思うので私はむしろ久保に同情的になってしまうのだが。
読了日:07月02日 著者:菅野 彰

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