9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:7339
ナイス数:188

ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)感想
時は2018年秋、栞子と大輔は結婚7年目。娘の扉子は「本が友達」で本を読むことや本に関わる話が大好き。大輔不在の折、栞子さんが娘にせがまれるまま語った本にまつわる4つのお話。…このシリーズ、面白くて大好きだけど構成がいまいち私には合わなくて長編になると辛かった。ので、今回は語り手が各章毎に違うため、叙述的なトリックの仕掛けもなくシンプルで読みやすかった。あとがきによると、またこういう形で「ビブリア」シリーズを続けるみたいなので、今回のシンプルな感じで是非お願いします。
読了日:09月29日 著者:三上 延
影の子 (ハヤカワ・ミステリ1931)影の子 (ハヤカワ・ミステリ1931)感想
舞台は1975年東ベルリン。いわゆる「ベルリンの壁」近くで身元が分からないよう損傷された少女の遺体が発見される。現場にはシュタージのイェーガーがいて、異例ながら人民警察のミュラーに捜査を命じる。調べるうち、現場に施された偽装工作の数々に気付くが遺体の身元につながる手掛かりはつかめない上に捜査に妨害が入る。捜査の章と交互に、9か月前の青少年労働施設で働くイルマたちの様子が描かれる。教師であるミュラーの夫が一時、派遣されていた施設だった。この二つが繋がった時、現れる驚愕の真実とは。(続く)
読了日:09月29日 著者:デイヴィッド・ヤング
ホワイトコテージの殺人 (創元推理文庫)ホワイトコテージの殺人 (創元推理文庫)感想
舞台は1920年代のイギリス。小さな村の「白亜荘」で客人のクラウザーが何者かに銃殺される。居合わせた息子の要請で臨場したチャロナー警部が捜査を進める。被害者は関係者全てから憎まれており、誰が犯人でもおかしくなかった。さて、犯人は誰?…牧歌的でほのぼのしたミステリと感じた。婦人の秘密が暴露されたり、舞台がフランスに飛んだり、国際的な犯罪組織が絡んできたり、警部の息子ジェリーとノーラのロマンスがあったりと、盛りだくさんで読者を飽きさせない。解説にある通りフーダニットに関してはアンフェアだけれども充分楽しめた。
読了日:09月28日 著者:マージェリー・アリンガム
死刑囚 (ハヤカワ・ミステリ文庫)死刑囚 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
スウェーデンで暴行事件を起こし逮捕されたジョン。彼の身元を調べると、6年前、死刑執行前に病死したはずの元死刑囚だった。それが何故、北欧の国で暮らし、妻子まで設けていたのか。米国は身柄の引き渡しを求め、死刑を容認しないスウェーデンの外務省は対応に憂い、エーヴェルトらに捜査の圧力をかける。捜査員は取り調べに妻子を同席させる異例の措置を取るなどしてジョンと信頼関係を築き、ジョンの証言を得る。しかし肝心の、米国からの脱出方法は本人も知らない。一方、米国では被害者の父親がジョンの送致を急がせていた。(続く)
読了日:09月27日 著者:アンデシュ ルースルンド,ベリエ ヘルストレム
はじめてのひと 3 (マーガレットコミックス)はじめてのひと 3 (マーガレットコミックス)
読了日:09月26日 著者:谷川 史子
図書館の殺人 (創元推理文庫)図書館の殺人 (創元推理文庫)感想
閉館後の図書館で大学生が殺された。凶器は本。死体の周りには棚から落下した本が散乱。そして本を用いたダイイングメッセージ!高校生探偵、裏染は被害者の従姉妹であり図書館常連仲間であった有紗と共に捜査を開始。一方、袴田妹こと柚乃は期末テストに苦しんでいた…。…本好き、図書館好き、ミステリー好き全ての好事家の心を擽る仕掛けが今回も満載。今回も小ネタやコントと本文のバランスが本当に絶妙。なんだそんなことと思われるかもしれませんが、これができる作家は殆どいません。さて本文は、全てが謎の解決に向けて動いている。
読了日:09月25日 著者:青崎 有吾
ハーフウェイ・ハウスの殺人 (祥伝社文庫)ハーフウェイ・ハウスの殺人 (祥伝社文庫)感想
健一はある大企業の社長の妾腹の子。ある日父から後継者になることを打診される。正妻の娘彩子が負傷、回復が見込めない状況だからだ。健一は彩子に会おうとするが父が所在を隠している。独自に探し始めると、箱根の山中に父が出資している企業の研究所を発見する。→別パートは「アヤコ」一人称で山中の『ハーフウェイハウス』で暮らす奇妙な少年少女たちの生活が描かれる。彼らは一体何者なのか…。…題名に『殺人』とあるが殺人事件は物語上重要ではない。
読了日:09月24日 著者:浦賀和宏
R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTIII (新潮文庫nex)R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTIII (新潮文庫nex)感想
REDフランス編。人身売買編完結…かな。この作品のために作者はフランス出張行ったんでしょうか。新潮社…作中ではヤクザにされてるけど…太っ腹だなぁ。フランスが取引相手とはいえ日本人がパリ周辺を破壊しまくっていいのか。あと、武器を持ち込みすぎ。外交官特権にもほどがある。フランスから見たら戦争じゃん。女ボスもあっさり尻尾を出しすぎ。とまあ突っ込みどころはいっぱいあるけど、勢いで読むものだと思うので、突っ込むだけ野暮なんでしょうね。
読了日:09月23日 著者:古野 まほろ
健康で文化的な最低限度の生活 (7) (ビッグコミックス)健康で文化的な最低限度の生活 (7) (ビッグコミックス)
読了日:09月22日 著者:柏木 ハルコ
うどんの国の金色毛鞠 (BUNCH COMICS)うどんの国の金色毛鞠 (BUNCH COMICS)
読了日:09月22日 著者:篠丸のどか
罪のあとさき罪のあとさき感想
楓は東京で働いていたが、元交際相手からストーカーに遭い、退職。今は横浜の喫茶店で働いている。ある日、家具店で中学の同級生卯月と再会する。彼は中学生当時、教室で同級生を殺した過去がある。卯月と楓は急速に親しくなるが、そのことで親友の芽衣子とは疎遠になってしまう。…楓は頼りなく見えるけど芯は強くて言うことはきちんと言えるし、決めるべきことも決められる女性。そんな楓が愛した卯月だから、大丈夫!という気がした。被害者がどうあれ、卯月のしたことが許されるわけではない。
読了日:09月17日 著者:畑野 智美
人間じゃない 綾辻行人未収録作品集人間じゃない 綾辻行人未収録作品集感想
単行本未収録の短編を集めたものだけどシリーズの番外編は文庫化の際に収録すればいいのに。それはともかく、喫茶店に異様に顔色の悪い女がいる『蒼白い女』が短いけれど怪談らしい怪談でとてもよかった。『洗礼』はいかにも大学生が犯人当て用に書いた趣のシンプルな短編なので入れ子構造にしなくても…(巨匠、綾辻が今更これを書いたというのがそんなに恥ずかしいか?)。『B04号室の患者』は、終盤の6行の挿入部がとてもいい(逆に冒頭はくどい。主人公が精神病院に入院していることがわかればいい)。
読了日:09月17日 著者:綾辻 行人
わたしの本の空白はわたしの本の空白は感想
病室で目覚めた南は記憶を失っていた。夫と名乗る慎也のことも思い出せずその態度の端々から不信感が募る。そんな南が夢に見るのは美しい男性。自分は確かにこの人を愛していた。けれど実在するのかも思い出せない。南が真実を知った時、選んだ人は、誰か…?…騙された記憶を失ったら愛した記憶だけが残ったということ?2千万も騙し取られてもまだ愛しているっていう気持ちがどうしても理解できず。慎也もろくでもない男だけど、弟の尻拭いで結婚させられて彼も被害者なのに、南の事を愛したところは晴哉よりマシなんじゃ?
読了日:09月13日 著者:近藤史恵
錆びた滑車 (文春文庫)錆びた滑車 (文春文庫)感想
女探偵の葉村晶は老婆同士の諍いに巻き込まれ負傷する。同じく怪我を負ったミツエは交通事故の後遺症(事故前後の記憶喪失と身体障害)が残る孫ヒロトの世話をしていた。ミツエは葉村を所有するアパートに住まわせる代わり、孫の世話を依頼する。想像以上のボロアパートで寒さに耐えつつ入眠しかけた矢先、アパートが火事になりヒロトは死亡、ミツエは重体となる。葉村は生前のヒロトから、交通事故当日、何故、父(事故で死亡)と遊園地の近くにいたのかを調べて欲しいという依頼を受けていた。火事の原因にも不審な点があり、葉村は独自に調査する
読了日:09月11日 著者:若竹 七海
友達以上探偵未満友達以上探偵未満感想
名探偵志望のJKももとあおはこれまでにも二人で様々な事件を解決。桃青コンビとして多少名が知られていた。二人が遭遇した二つの事件と桃青コンビ発足のきっかけとなったJC時代の事件の3つの物語。…残念ながら(?)百合ものではない。二人のJKと刑事という構成は貴族探偵よりはドラマ向き(広瀬すずと橋本環奈と竹内涼真あたりか)そういや版元角川だ。JC編の人物の譬えのマニアックさはちょっと面白かったけど、全体的にギャグ貧乏(ⓒ伊集院光)というか最早オヤジギャグの域なのか表現がくどくそこまで面白くない蛇足の部分が気になる
読了日:09月10日 著者:麻耶 雄嵩
十二人の死にたい子どもたち十二人の死にたい子どもたち感想
或る廃病院で集団心中しようと「死にたい子供たち」が集まった。しかし12人集まるはずの会場には13人いて一人は意識不明。この彼は何者でどうやってここに来たのか?不可解な状況の謎を解こうと子供たち議論を重ね、やがて導き出された結論とは。…閉鎖状況ものと言えば初期の古処誠二石持浅海で、状況設定はとても似ているが、これはミステリとして読まない方がよいのだろう。12人もいると一人ひとりのエピソードや動機の掘り下げがあっさりで、真実かどうかも怪しく思ったがそこまで穿って読まなくてもよかったようだ。
読了日:09月08日 著者:冲方 丁
竜と流木竜と流木感想
日米ハーフのジョージは南国の島で出会った生物「ウアブ」に魅せられ、個人的に飼育と研究をライフワークとしていた。ある日、生育地が開発され、住むことができなくなるウアブのために、ジョージたちは保護クラブを結成、話し合いの結果、隣島のリゾート施設「ココスタウン」内の池にウアブを移住させた。しかしウアブは大量死してしまう。落胆するジョージたちを尻目に、ココスタウンでは謎の黒いトカゲのようなものが現れ、噛まれた人が死亡する事件が相次いだ。黒いトカゲを捕獲すると、驚愕の事実が判明した…!
読了日:09月07日 著者:篠田 節子
極夜の警官 (小学館文庫)極夜の警官 (小学館文庫)感想
『雪盲』に続くアイスランドを舞台にしたミステリ第二弾。アイスランド(=欧州の北区)の更に北、シグルフィヨルズス。住民は皆顔見知りで玄関には鍵もかけない。そんな小さい地域で二人しかいない警官のうち一人が銃殺された。もう一人の警官アリ=ソウルは事件後もこの地で暮らしていかなければならないため、関係性を考慮すると被疑者の取り調べも慎重に行わなければならない。…物語と並行して挿入される精神病院の入院患者による日記が物語に不気味なBGMを与えている。この手記が誰のものなのか、気づいた時に事件の全容が浮かび上がる。
読了日:09月07日 著者:ラグナル ヨナソン
東京會舘とわたし(下)新館東京會舘とわたし(下)新館感想
(上から続き)そこに佇み続けるのではないかと思う。
あとがきはあっさりしていたが、別著のエッセー集で本作品にかける思いを語っているのでそちらも併読するとよいと思う。
上下巻だけど、一話完結の連作短編で読みやすい。東京會舘と一緒に時代を追いながらタイムスリップしたような気持ちになった。思わず涙腺が緩んだのも一度や二度ではない。
恥ずかしながら私は本書を読むまで東京會舘という建物を知らなかった。でも今は行ってみたくて仕方がない。…まずはテーブルマナーから、習っておこうかしら。

読了日:09月05日 著者:辻村深月
東京會舘とわたし(上)旧館東京會舘とわたし(上)旧館感想
エッセーのような題名だけど、東京會舘を舞台にした小説。上巻は旧館、大正から最初の建て替えまで。下巻は新館で建て替え以降。この小説を描くにあたり作者は相当取材しただろう。多くのエピソードを取捨選択したことが伝わってくる。それは、東京會舘が、多くの努力を重ねながら、それをお客様に悟られずいつもいつでも最高のサービスを提供することと似ている気がする。人生で節目となる時は誰にとってもそう多くあるものではない。例えば、結婚。その時代に流行った曲で記憶が蘇るように、東京會舘は場所の記憶装置としていつまでも(下へ続く)
読了日:09月05日 著者:辻村深月
深泥丘奇談・続々 (幽BOOKS)深泥丘奇談・続々 (幽BOOKS)感想
架空の京都の街を舞台にしたシリーズ第三弾。怪談というより幻想小説か。…前から思ってたけど、好みはあると思うけど、文章が幻想小説向きじゃないと思う。物語も、頭のいい人が、気が狂った振りをしている感じ。徹底的に無意味になれなくてどこか整合性を求めてる(年表とか作っちゃうあたり…)。…装丁がとてもいい。小説に食い込んだ挿画は勿論あとがきが終わった後でまるで表紙のようなカラーのページが現れることで、ふりだしに戻るというか、今、読み終えたこの本の記憶が消えてしまいそうになる。そう、まるでこの小説の主人公みたいに…。
読了日:09月02日 著者:綾辻 行人
猿の見る夢猿の見る夢感想
薄井はアパレルメーカーに勤めるサラリーマン。元は銀行員でいわゆる出向組。妻史代は専業主婦。長男は結婚して飛行機の距離に在住。社内では会長派と見られているが世代交代を見据えて動く必要はある。悩みは次男がニートなことと、愛人の美千代の欲求に応えるにのがきつくなってきたこと。そんなある日、帰宅すると家に見知らぬ老婆が寛いでいた。妻が呼んだ占い師らしい。…家庭板を小説化したような印象で登場人物の誰にも共感できず最後まで読み通せなかった。人間たちのエゴが衝突して揉める姿を猿が笑っていた、という物語と理解しました。
読了日:09月02日 著者:桐野 夏生
許されざる者 (創元推理文庫)許されざる者 (創元推理文庫)感想
引退した犯罪捜査局の長官ヨハンソンはある日脳梗塞に倒れる。幸い発見は早く順調に回復していた。そんなある日、主治医の亡父が、25年前の少女強姦殺人事件の犯人を知っていたようだと相談を受ける。ヨハンソンは長官時代の人脈をフルに使って捜査を始めるが事件は既に時効になっている。…最後の1文字まで堪能した。優れたミステリであることは前提で、介護小説としても読んだ。ヨハンソンは脳梗塞後、感情が抑えられなくなったり、好物を我慢したりしなかったり、リハビリに励みつつ進展のなさに苛立ったり。(続く)
読了日:09月01日 著者:レイフ・GW・ペーション

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