12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4281
ナイス数:109

ゆえに、警官は見護るゆえに、警官は見護る感想
マンションの駐車場で、遺体がタイヤに立てられて焼かれるという事件が立て続けに3件発生。マスコミも注目する中、猫の手も借りたい帳場は潮崎警視を捜査班に加える。一方武本は、留置場の職員として日々黙々と職務を果たす日々。ある日、武本の勤務する新宿に泥酔の上暴行を働いた罪で収監された柏木という男の挙動が気になった。そのことを潮崎に非公式に報告。すると柏木と連続放火事件の繋がりが発見される。…潮崎の武本愛は今回も本物。宇佐美と正木を加え、パワーアップした潮崎ファミリーを上層部もなんやかや認めているようです。
読了日:12月31日 著者:日明 恩
薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)感想
時はクリスマス。新潟でスキーと温泉を楽しむお涼たちの近くでは大規模カジノ施設のプレオープンイベントが行われていた。開始早々、地震と雪崩で建物は崩壊。さっさと逃げ出す首相と外国の賓客。残されたお涼たちは吹雪と謎の敵に立ち向かう。…100歩譲って新潟にカジノを建てるのはいいけど真冬にオープンするか?恒例の生物兵器の考察もほぼないし、成田とやらもキャラ設定ブレブレだし黒幕は登場しないままだしその割に政府批判だけは筆が乗ってるしでツイートでもしとけや、という内容。惰性で読んでるけど次はもういいかな。
読了日:12月28日 著者:田中芳樹
このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景感想
『かごめかごめ』の作者によるごみ清掃員体験記。芸人だけあって小説よりこういう文章の方が読みやすい。声を出して笑ってしまうところあり深く考えさせられるところあり役に立つところありでした。特にごみから見える貧困の様相はすごく考えさせられた(だからタバコ増税は貧者狙い撃ちなんだなと実感)。ところで「えのきバター」は本当に謎すぎるのでミステリ作家競作で「えのきバターの謎」アンソロジーでも作りませんかどうですか?…どんな事件なのか、詳しくは本書をお読みください!
読了日:12月28日 著者:滝沢 秀一
水槽の中水槽の中感想
高校生、井口遥はそれなりに努力して入学した高校生活を楽しんでいる。気になる異性はいるけれど、思うように進展しない、そんな日々。…漫画で言えば「あずまんが」などの日常ほのぼの系。遥の恋愛がメインの物語になるだろうけれど、それでも特に大きな出来事は起きない。物足りなさを感じてしまうかもしれないが、読み終えた後、もっと読みたかったという気持ちになるのはどうしてだろう。高校生の何気ない日常を淡々と描いているように見えて、作者の言葉の選び方(「ふいんき」とか)や物語上特に意味のない会話にはっとさせられた。
読了日:12月28日 著者:畑野 智美
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(4) (講談社コミックス)金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(4) (講談社コミックス)
読了日:12月23日 著者:船津 紳平
乙嫁語り 11巻 (ハルタコミックス)乙嫁語り 11巻 (ハルタコミックス)
読了日:12月23日 著者:森 薫
3月のライオン 14 (ヤングアニマルコミックス)3月のライオン 14 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:12月22日 著者:羽海野チカ
海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)
読了日:12月22日 著者:吉田 秋生
ダンデライオンダンデライオン感想
SFの古典的名著『たんぽぽ娘』をモチーフに、時間移動する下野蓮司が幼い西園小春を救う物語。蓮司の意識だけが時間を飛び越える。つまり、大人の蓮司の体に子供の蓮司の意識が(同時に逆も)。その能力を活かして、蓮司は強盗殺人犯から幼い小春を守る。そして意外な真犯人とは。…大小のエピソード、小道具等々全てが伏線。映画が重要なモチーフとなっているがこの小説自体、SF映画を見ているような気がした。そこまで未来が分かっているなら、色々な悲劇を回避できたんじゃないかともどかしくなるけれど、そもそも未来は切り開くものだ。
読了日:12月19日 著者:中田 永一
凜の弦音凜の弦音感想
篠崎凜は弓道部に所属する高校生。連作短編集で、一話目は恩師宅で起こった殺人事件を凜が解決する物語。このままこの路線で行くかと思いきや、事件→解決の路線は残しつつ凜が弓道を通して成長する物語が続く。どちらの路線も悪くないけれど、だからこそ第三話は違和感が残った。凜のよき理解者であり凜に負けず劣らず弓道を愛する本多部長が大事な弓をそんなことに使うだろうか?自称専属カメラマンの中田が撮った映像が話題となりTV出演に至る経緯は今時の物語だなぁという感じがするし、その中で自分を見失わない凜の姿には素直に好感が持てた
読了日:12月19日 著者:我孫子武丸
戒名探偵 卒塔婆くん戒名探偵 卒塔婆くん感想
僕は金満寺の次男坊。私立校に通う平凡な高校生…だけど跡継ぎの兄貴(元ヤン)から理不尽な命令をされる。扶養家族は辛いね。そんな僕には、卒塔婆もとい外場というそこらの坊主も裸足で逃げ出すほどの知識豊富な探偵の友人がいる。名付けて、戒名探偵卒塔婆くんだ。お供えの高級和菓子を賄賂に今日もお知恵を拝借する。…寺の世界を露悪的に暴露していて、大変面白かった。最後の長編は取って付けた感がなくもないけど、引っ張ったところで続編は出ないのだろうから一巻で完結させたのは潔い。次があるなら大学生編とかがいいな。
読了日:12月16日 著者:高殿 円
監禁面接監禁面接感想
アラン、57歳。妻と二人の娘がいて幸せな人生…のはずだった。四年前に失業するまでは。そんな彼の元にある日、有名企業の人事部長募集の求人が届く。選考方法は、その企業の幹部を集め、偽のテロ事件を起こし、会社への忠誠心を見極めると同時に人事部長も決定するというものだった。アランはこの面接のためにありとあらゆる手段を使い、ライバルに差をつけようとする。しかし試験直前、この面接が出来レースであることを知ってしまった。進退窮まったアランが一発逆転を狙って仕掛けたものとは?
読了日:12月16日 著者:ピエール ルメートル
神さまを待っている神さまを待っている感想
水越愛、26歳。静岡出身。大卒で就活がうまくいかず、派遣社員として東京で一人暮らしをしている。派遣先から雇い止めにあった愛は就活がはかどらず、失業保険も切れ、手元の貯金が一か月分の家賃の金額を切ったところでスーツケース一つ持って外に出、ホームレスとなった。そして、転落していく。…作者は、主人公愛のごく普通の女子の感覚、例えば冒頭で鰺フライにソースをかけたいけど届かない、というものから出会い喫茶でもウリはしたくないという悩みまで、淡々とした描写で描くことで妙にリアルに感じさせる。
読了日:12月11日 著者:畑野 智美
雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール感想
雛口依子の兄新太は転落事故(自殺?)で意識不明の後、記憶喪失から性格が180度変わり、好青年として蘇った。その兄を含めた雛口一家は色川という「叔父さん」の元に身を寄せる。…頭のネジが抜けている依子の一人称な上に時制があちこち移動するため筋を追いにくい。が、妙な勢いと文体でどんどん先に進んでしまう。この作家、こういうのも書けたのかととても意外。登場人物の誰一人マトモな人がいない小説だけれど、その分変な説得力があるのか物語上不自然な点が全く気にならないのがいい。こういう作品も書けたのか…と驚きでいっぱいでした
読了日:12月09日 著者:呉勝浩
つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物 (角川文庫)つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物 (角川文庫)感想
河野裕の作品の感想を書こうとするといつも自分語りになってしまうのは何故だろう。私はこの物語から、人は何故、小説を読むのか。物語を求めるのかということを読んだ気がする。どれだけ傑作でも読まれない小説に意味はない。それを実現するのが編集者であり出版社だ。私は物語が好きだ。小説を読むことが好き。作家のプロフィールに興味はないが、その作家が、この物語を書かずにいられなかったという動機がいつも気になる。
読了日:12月05日 著者:河野 裕

読書メーター