6月の読了本
『結婚なんてしたくない』黒田研二→感想
『予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS)』太田忠司→感想
『Killer X (カッパ・ノベルス)』クイーン兄弟 →感想
『大鷲の誓い デルフィニア外伝 (C・NOVELS Fantasia)』茅田砂胡, 沖麻実也→感想は下
『コールドゲーム (新潮文庫)』 荻原浩→感想
『クライマーズ・ハイ』横山秀夫→感想
『凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)』北森鴻→感想は下
『カンニング少女』黒田研二 →感想
『エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)』島田荘司 →感想は下
『銭形平次捕物控 新装版 (光文社文庫)』野村胡堂→感想は下
感想
『大鷲の誓い デルフィニア外伝 (C・NOVELS Fantasia)』茅田砂胡, 沖麻実也
バルロとナシアス・出会い編。中公の意図か作者の意図かは分からないが、明らかにBLなのに、それを意図的に避けているので中途半端な印象。物語としても、両名の見せ場は本編にあるのでそれを抜きにすると大したエピソードは残っていない。二人の物語で始めておきながら最終的に王妃(しかも本人ではなく肖像画のエピソード!)で締めるのはどうなのか。
『凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)』北森鴻
民俗学ミステリ…といえば『宗像教授伝奇考 第1集 (潮漫画文庫)』が浮かぶが、あちらは「民俗学」メインに対し、こちらは「民俗学」プラス「ミステリ」。宗像教授でミステリ的な話が好きな人はオススメ。ただ、宗像教授と幾つかネタがかぶっていてオチが読めてしまうものもアリ。とはいえ「ミステリ」部分で充分楽しめます。気になったのは、那智の「ミクニ」を決め台詞とするならあまり連発させず、ここぞ、という場面で使って欲しかった。
『エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)』島田荘司
のっけから自閉症(アスペルガー)の薀蓄。それはそれで面白いし、ためになるのかもしれないが(ただし、孫引きはいけないので知識にするなら裏を取りましょう)作中の事件とはあまり…というより全く関係なし。こういう、物語ですらない小説は好きになれません。
『銭形平次捕物控 新装版 (光文社文庫)』野村胡堂
帯は村上弘明版銭形。とはいえ私はやっぱり風間杜夫のイメージだ。語尾が「〜です」という独特の文体で…少年少女向き小説の雰囲気に近いかもしれない。人情者の親分は犯人を逃がしてばかり。たまにはいいけど(よくないが)あまり連発すると、江戸の治安はどうなのさ?とか、手柄を逃して、それじゃ親分は何で飯を食ってるのさ?とか、そういうことは気にせず、ドラマを見る気安さで読むと面白い。親分の推理法は、相手の人相や人柄を見る手法で、説得力に欠ければ小説として成り立たない危ういところに立っている。が、そこで何となく納得してしまうのは、時代劇を見てきた日本人のDNAかもしれない(オオゲサ)。ところで、解説が収録作品以外の作品の解説になっていて、役割を果たしていない。銭形平次は美男子という設定だったとは解説を読むまで知りませなんだ。
…銭形というと「ルパーン!」が思い浮かぶのは世代でしょうか。