2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『桜姫 (角川文庫)』近藤史恵

二つの視点が交錯して物語が展開していくのは作者の十八番だけど、今回は二つの物語の絡み方が微妙だったような気もする。

『夏から夏へ』佐藤多佳子

『一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)』の作者が、現役スプリンターを取材したノンフィクション。残念ながら、取材はオリンピック直前で終わっているため、銅メダルのエピソードはないのだけれど、これを読むと彼らにとって、メダルがどんな…

『白い兎が逃げる (カッパ・ノベルス)』有栖川有栖

収録の「地下室の処刑」と「比類のない神々しいような瞬間」がよかった。「比類の」はダイイングメッセージもの。と、聞いただけでミステリがあまり好きでない人は敬遠するかもしれないし、実際、途中まではいわゆるパターンのDMものとして展開していくの…

『雪沼とその周辺』堀江敏幸

架空の(だよね?)街雪沼を舞台にしたオムニバス短編集。ミステリではないので、劇的な物語があるわけでなく、明確な回答が示されるわけでもない。構成は、全編とも、まず、現在が語られ、その中の一つに焦点が合うと、それを軸にして過去のエピソードが語…

『未熟の獣』黒崎緑

これは、物語はとても面白かった。けど、この作品で失敗と思うのは、帯。作品と全く関係ないところで恐縮だけど、帯のアオリ文句やあらすじのテイストが内容と合致していない。勿体無いと思う。最後の、背筋がぞくっとするような展開は本当によかった。

『風の記憶 (ミステリー・フォー・ユー)』岩崎正吾

収録の『ぼくの愛した少女』と『長崎から来た女』が不思議な印象でよかった。前者はきちんとしたミステリなんだけど、青春ものでもある。後者はミステリの要素はないんだけど、物語としての仕掛けに驚かされた。叙情的すぎるのは鼻について嫌いだけど、この…

『旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫)』北森鴻

冬狐堂の第二弾。表題作より、『倣雛心中』がよかった。ビジュアル的に想像しやすかったし。陶子さんの元ダンナは、あまり物語に積極的に関わってこない方が好きです。

『お釈迦様もみてる ウェット or ドライ (コバルト文庫)』今野緒雪

釈迦みては、水戸黄門の出てこない水戸黄門みたいなシリーズだと思う。けど、毎回、これが水戸黄門シリーズであることの証明のように、祐巳が出てくるのが面白い。すごく根源的な疑問があるんだけど、アリスはいわゆる性同一性障害なのか?

『のはなしに』伊集院光

前作より、お笑い要素は少し減ったと思う。けど、思わず唸ってしまう話が多かった。私はラジオのリスナーなので、ラジオで聞いたことある話もあるけど、こうして文章で読むとまた違った味がある。些細な、けれど譲れないこだわりというのは誰にでもあるもの…

『チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)』『チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)』海堂尊

今更ですが面白かったです。これでデビュー作、しかも本業は別にあるというのだから驚愕。専門用語の羅列で、でも敢えて解説していないのがいい。続編も是非読みたいです。

ここんとこの読了本

ああもう10月。