2009-01-01から1年間の記事一覧

ここんとこの読了本

『あるキング』伊坂幸太郎 『追想五断章』米澤穂信 『BG、あるいは死せるカイニス (創元推理文庫)』石持浅海 『女子と鉄道 (光文社文庫)』酒井順子

『桜姫 (角川文庫)』近藤史恵

二つの視点が交錯して物語が展開していくのは作者の十八番だけど、今回は二つの物語の絡み方が微妙だったような気もする。

『夏から夏へ』佐藤多佳子

『一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)』の作者が、現役スプリンターを取材したノンフィクション。残念ながら、取材はオリンピック直前で終わっているため、銅メダルのエピソードはないのだけれど、これを読むと彼らにとって、メダルがどんな…

『白い兎が逃げる (カッパ・ノベルス)』有栖川有栖

収録の「地下室の処刑」と「比類のない神々しいような瞬間」がよかった。「比類の」はダイイングメッセージもの。と、聞いただけでミステリがあまり好きでない人は敬遠するかもしれないし、実際、途中まではいわゆるパターンのDMものとして展開していくの…

『雪沼とその周辺』堀江敏幸

架空の(だよね?)街雪沼を舞台にしたオムニバス短編集。ミステリではないので、劇的な物語があるわけでなく、明確な回答が示されるわけでもない。構成は、全編とも、まず、現在が語られ、その中の一つに焦点が合うと、それを軸にして過去のエピソードが語…

『未熟の獣』黒崎緑

これは、物語はとても面白かった。けど、この作品で失敗と思うのは、帯。作品と全く関係ないところで恐縮だけど、帯のアオリ文句やあらすじのテイストが内容と合致していない。勿体無いと思う。最後の、背筋がぞくっとするような展開は本当によかった。

『風の記憶 (ミステリー・フォー・ユー)』岩崎正吾

収録の『ぼくの愛した少女』と『長崎から来た女』が不思議な印象でよかった。前者はきちんとしたミステリなんだけど、青春ものでもある。後者はミステリの要素はないんだけど、物語としての仕掛けに驚かされた。叙情的すぎるのは鼻について嫌いだけど、この…

『旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫)』北森鴻

冬狐堂の第二弾。表題作より、『倣雛心中』がよかった。ビジュアル的に想像しやすかったし。陶子さんの元ダンナは、あまり物語に積極的に関わってこない方が好きです。

『お釈迦様もみてる ウェット or ドライ (コバルト文庫)』今野緒雪

釈迦みては、水戸黄門の出てこない水戸黄門みたいなシリーズだと思う。けど、毎回、これが水戸黄門シリーズであることの証明のように、祐巳が出てくるのが面白い。すごく根源的な疑問があるんだけど、アリスはいわゆる性同一性障害なのか?

『のはなしに』伊集院光

前作より、お笑い要素は少し減ったと思う。けど、思わず唸ってしまう話が多かった。私はラジオのリスナーなので、ラジオで聞いたことある話もあるけど、こうして文章で読むとまた違った味がある。些細な、けれど譲れないこだわりというのは誰にでもあるもの…

『チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)』『チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)』海堂尊

今更ですが面白かったです。これでデビュー作、しかも本業は別にあるというのだから驚愕。専門用語の羅列で、でも敢えて解説していないのがいい。続編も是非読みたいです。

ここんとこの読了本

ああもう10月。

『マリア様がみてる 34 リトルホラーズ (コバルト文庫)』今野緒雪

もうマリみて再開!?と人類が驚愕した。内容は、作者もあとがきで言及している通り「バラエティギフト」。祐巳由乃志摩子が薔薇様になって、菜々が一年生。そのエピソードがのりしろになって、あとはリリアンの「いづれの御時にか」(でないのもあるけど)…

『風雲縛魔伝 7 北斗復活!の巻 (風雲縛魔伝シリーズ) (コバルト文庫)』桑原水菜

もう、前の巻は売っぱらってしまったくせに、最終巻と聞いて読んでしまった。景虎化(あの頃は「景虎」を知ってる人=ミラージュを読んでる人だったのに、まさかの大河。直江が山下真司になるとは想像もせなんだ。ところで最近「景勝」(けいしょう)という…

『災厄の町 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-12)』『十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)』『ダブル・ダブル (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-5)』エラリイ・クイーン

抜けてる1作も読まなきゃ…。 一番好きなのは災厄かな。ホラーチックなストーリーかと思ってた(キングと混同?)。探偵クイーンは登場するけど異常に惚れっぽい。国名シリーズのクイーンが石坂浩二ならこちらは鶴太郎(画家になる前おでん食べてた頃)だ!

『五つの鍵の物語 (講談社ノベルス)』太田忠司

『鍵』にまつわる短編集。各章の冒頭にはフジワラヨウコウのカラーグラビアつき。それを意識してかどうかわからないが、各編とも映像的だと思った。是非映像化を。ところで、『黒曜の鍵』の数字の秘密が分かりません…。誰か教えてください…。

『乱れからくり (角川文庫)』泡坂妻夫

犯人については途中からなんとなく気付いてしまうが(というか関係者がほぼ全員死んでしまうし)。このトリック…というか、まさに「仕掛け」はものすごい。これは史上類を見ないと言っても過言ではないんだろうな。殺人の仕掛け以外のところでも、逆転に次ぐ…

『タバコ狩り (平凡社新書)』室井尚

新聞の書評欄を見て衝動買いしたんだけどいまいち期待はずれ。タバコの害と言われているデータが実は胡散臭いというのは喫煙者なら大抵知ってるんじゃないか。この本を非喫煙者が読むとはあまり思えないし。それに、タバコが好き=タバコはいいものだという…

『誤読日記』斎藤美奈子

初出が週刊誌の連載なので仕方ないけれど、1冊の分量が少なくて物足りない(その量で事足りている本も沢山あるけど)。あと、時事的な本は今読むとどうしてもネタが古い。とはいえ、器用な作者のこと、どの本も面白げに(あ、書評のことね)紹介している。普…

『すばらしき愚民社会 (新潮文庫)』小谷野敦

本書のポイントは「愚民」とは週刊大衆を買う人ではなく、文藝春秋を買う人のことをさす、というところ(該当箇所がみつからなかったので記憶で失礼)。文庫の初版が平成19年で初出はもっと古いと思うので、インチキ心理学の話などは相当古く感じてしまうが…

『阿修羅ガール』舞城王太郎

最近、積読本を売るようになった。こうなったら人間終りと思いながら、いつか読むかも、と収集していたINとか、一作読んでもういいや、となったYSとか。色々あるなかで舞城だけは売らずにいる。なんでだろう?すっごくお気に入りの作家、というわけでもない…

『早春の少年―伊集院大介の誕生』栗本薫

今年の1月に、伊集院シリーズの『青の時代』の感想を書きました(http://d.hatena.ne.jp/sis_kasuri/20090112#p2)。そこで「私はもう栗本薫の伊集院ものは読まないかもしれない。」なーんて書いておきながら。実はまだ積読があった。そしてその間に、栗本薫…

ここんとこの読了本

油断すると、あっという間に数ヶ月。(字余り)

ここんとこの読了本

今月は沢山本が読めたよ〜。 『鈍い球音―天藤真推理小説全集〈4〉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』天藤真 『バッテリー』を読んだんだけど、あれは野球小説ではないね。というわけで野球小説が読みたくなって読んだ。 『遠まわりする雛』米澤穂信 千…

泡坂妻夫

『11枚のとらんぷ (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』 『亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)』 『亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫)』 『亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』 亡くなってから積読を手にする悪い読者。これから読む人は亜シリ…

『回廊亭殺人事件 (光文社文庫)』東野圭吾

「回廊邸」という特殊な舞台装置をもっと生かした物語かと思いきや。(無関係ではないけれども)。登場人物に魅力的な人が誰もいなかったのが残念。

『虹の家のアリス (文春文庫)』加納朋子

日常の謎系短編集。それぞれの物語の謎は解決するのだけれど、でも、よくない気持ちを持った人が簡単に改心したり、とっても悪い人が実はすっごくいい人でした、というようなオチがないところがとてもよかった。

『女に生まれてみたものの。』菅野彰

Web連載の単行本化。”女度”を上げるために各地で修行をする…というまとめでいいのかな? 作者のエッセイの代表作『asin:4403541305:title』のノリを想像するとその趣の違いに驚くかもしれない。笑いどころは沢山あるのだけれど、何故か最後にしんみりする。…

『asin:4004311128:title』堤未果

超大国アメリカ。色々な意味で世界一の国であるアメリカだけれど、その実態はこれなのか。悲惨の一言に尽きる。 子供の肥満の問題も、医療費の問題も恐ろしいが、戦争の問題が一番印象に残った。今や戦争は「民営化」している。(「民営化」というキーワード…

『asin:4334076300:title』太田忠司

レストア(リストアとも)英(restore=回復する)とは、老朽化などの理由により劣化した、もしくは故障した自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、ラジコンモデル等を修復し、復活させること。(Wikipedia)*1 主人公はオルゴール修復師・鋼。鋼は父親の会…