4月の読了本

マリア様がみてる 23 くもりガラスの向こう側 (コバルト文庫)今野緒雪
BG、あるいは死せるカイニス (ミステリ・フロンティア)石持浅海
ビートのディシプリン〈SIDE4〉 (電撃文庫)上遠野浩平
高校教師、なんですが。 (キャラ文庫)菅野彰, 山田ユギ
おいしいコーヒーのいれ方 (9) 聞きたい言葉 (JUMP j BOOKS)村山由佳
大密室有栖川有栖, 恩田陸, 北森鴻, 倉知淳, 西澤保彦
花の下にて春死なむ (講談社文庫)北森鴻
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)米澤穂信
九杯目には早すぎる (FUTABA・NOVELS)蒼井上鷹
黒後家蜘蛛の会 (4) (創元推理文庫 (167‐5))アイザック・アシモフ, 池央耿
マリみて」まだ引っ張るか。これだけキャラの多い小説なので、祐巳瞳子に興味のない読者にとっては面白くないんじゃないか。志摩子さんの着物姿のイラストがなかったのが残念。作者の手元には祥子さまの自宅の間取り図はあるんだろうか?読む限りではどんな家か想像もつかないんですけど。
「BG」読み残していた石持作品をやっと読みました。正直「扉」や「月」(←私はこれが一番好き)を期待して読むと期待を裏切られる印象だが、悪くはない。SF的設定という意味で言えば「月」もそうだけれど、これはその設定が前提の物語なので、「月」でSFが嫌だった、という人も大丈夫かも。ただ、これは石持作品に共通することだけど、エピソードが不完全で「完璧な」などと形容される登場人物の「完璧さ」が今一つ伝わりづらかった。萩尾望都で漫画化したらよさそう。
「ブキポ」前巻から間を置き過ぎて登場人物の関係が忘却の彼方だった。だが、忘れているだけで、もっとずっと前に何度か登場しただけの人物が思わせぶりに再登場しただけなのかも。これは上遠野の常套手段でそこが好きな人は上遠野のファンだろうし、だめな人はそこがだめなんだろう。炎の魔女が出てこないからもういいやーと思っていたら最後の思わせぶりが…!商魂逞しい奴め!!
「高校教師」「毎日晴天」シリーズと勘違いしていました。ノンシリーズ(かな?)です。「毎日晴天」は菅野作品の中では割と異質で、それまでは、いわゆる共依存をテーマにしたものが多かった。今回もそれかと思ったら、確かにそういう素地はあるものの、以前の作品とは違っていた。BLだけどこれはラブコメというか、いわゆるBLっぽくはないです。(菅の作品全体的にそうだけれど)イラストがいかにもBLっぽいのが気に入らない。それ以外は全部よかったです。全部のキャラがいい味出してる。
「おいコー」この年齢でこのシリーズを読むと、尻の辺りがむずむずしてくる。そういう綺麗な頃もあった…かなぁ。
「密室」アンソロジー。作品はもとより、あとがきがよかった。最後の山口雅也のあとがきが全員の気持ちを代弁している。カルメンみたいな感じかな?嫌いなのに、好きになっちゃいけない危険な女なのに、心ひかれていっていつの間にか虜になり身も心もぼろぼろ…というのが密室に対するスタンスでしょうか。どれも面白かったけれど、ここで初めて、北森鴻を読んで、気に入りました。そして次に
「花の下にて」を読むに至った次第。デビュー作ということでアラは目をつぶる。論理展開の強引さも目をつぶろう。すると、過去を探る日常の謎と現代の事件がリンクする部分は各編短いながらもきちんと着地するのは気持ちいい。隠れ家的バーとマスター+常連客というパターンはよくある設定だろうけれど、ビールや料理の描写が本当に美味しそうで池波正太郎を読んでいる錯覚に陥るほど。ここで料理やビールを伏線にするとしつこいのだけれど、それをしないところが潔く、気持ちいい(一篇あったけれど)。また、あのバーに行ってみようかという気持ちで続きを読みたくなる。
「夏期限定」青春ミステリと銘打たれるものは、爽やかな物語ではなく、むしろ若さゆえの腹黒さのようなものを潜ませている。例えが古いが、小峰元や辻真先の作品は決して爽やかなだけではない。そして米澤も例外ではない。やる気のない探偵は米澤のオハコだけれど、小鳩くんは氷菓のホータローとの差異が今のところあまり見出せないので今後に期待。
「九杯目」ミステリというよりショート・ショート。ミステリを読みなれている読者をあっさり手玉に取るのは見事だと思ったが、作者にその意図はなく、ショート・ショートの技法で書いているからかもしれない。タイトルに凝ったのかもしれないけれど、超短編を挿入して九編にするくらいなら普通に短編を4本程度にしてくれた方がよかった。ショート・ショートって読み続けると飽きるから。
「黒後家」巻を追うごとにつまらなくなると評判の黒後家だが、割と楽しめた。今回は反則技が2編あったのでそのせいかもしれない。マンガにおける夢オチ等と同じでこの手はそう何度も使えない。次はどうなることやら。