『asin:4061486233:title』眉村 卓

私が読んだのは角川文庫版(薬師丸ひろ子が表紙のやつ)。映画は見たことない。
物語は、生徒会長に高見沢みちるが就任してから、阿倍野六中の様子がおかしい。生徒が生徒を監視し、些細なことで厳罰が加えられるようになった。主人公・関耕児は反抗するものの次第に追い詰められていく。だが、みちるには超能力があるらしい。その秘密を探るべく行動していくが…。

物語は書かれた時代が古くても読むに耐えるものだと思っていたけれど、この作品と現代(私が中学生だった頃)とのあまりの価値観の違いに眩暈がした。たとえば、生徒会長の立候補演説を引用すると

「わたしは、この阿倍野六中を、中学らしい中学にするために立候補したのです。悪ふざけ、いたずらがしょっちゅう行われ、規律を守らない生徒たちがいっぱいの、この阿倍野六中をどう考えますか?これが、正しい中学のありかたでしょうか?わたしは、必ずこうした風潮を正して見せます!本来の、勉学に励むための環境を作り、中学生らしい中学生のための阿倍野六中にしたいのです!」(一部略)

そしてそれを聞いた主人公関耕児の独白。

その演説の内容も、まちがってはいなかった。いや、まちがいどころかごく当たり前のことなのだ。今の阿倍野六中の規律を取り戻し、秩序ある学園にしようというのは…正論だった。反対すべき理由はないのだった。

ええええーー??そおかあ???

悪ふざけと言ってもせいぜい黒板に教師の悪口を書く程度のこと。担任を流産させる会とか作ったりした訳じゃない。こんな主張が正論だったら生徒全員サカキバラになっちゃうぞ?
だいたい、みちるの超能力も大したことないんだな…。念力(?)で人を飛ばす程度。

どちらかというと、悪役のみちるより主人公の参謀役の和美が気になった。和美が全ての黒幕(ラスボス)で、何かと気に入らないみちるを再起不能にするために暗躍していた、というストーリーはどうでしょうか。