ここんとこの読了本

退出ゲーム (角川文庫)』初野 晴
吹奏楽部員2名が主人公の、青春ミステリ。ややラノベの雰囲気もあるけど、どちらかというと一昔前のラノベヤングアダルトと言われていた頃のジュブナイル)的かもしれない。主人公のチカやハルタはもとより、他の登場人物たちも大げさなくらいキャラが立っているので漫画化にも向いていると思う。とはいえテーマは実は重いので読み応えはある。荒唐無稽なところもあり、真剣なところもあり、そのバランス配分がとてもうまい。文章も、読みやすいけど軽すぎない。もちろん、下半分メモ帳ということもない。なんだか褒めすぎだけど、どこまでも楽しませていただきました。人気シリーズの第一弾。最近、3冊目が出たばかり。人気も頷けます。
少年探偵江戸川乱歩全集〈12〉黄金豹江戸川乱歩
東京都内に出没する「黄金豹」。それは突然姿を現し、忽然と消えうせる。そして次々と起こる怪事件。小林少年と明智 vs 黄金豹の闘いの行方は。
このシリーズは楽しんでしまった者勝ちです。その点は水戸黄門を見ているようなものです。色々な事件が起こった後、最後に明智が策略をもって謎の黄金豹を捕まえる…わけだけど、あまり頭のよさそうな作戦じゃないです。とはいえここもお約束。アジトに逃げ込んだ黄金豹を追い詰めてから「皆を集めてさて」と明智の独壇場を拝聴します。様式美です。
雨が降っても、生ビール菅野彰
『晴れ時々、』の続編、といってもこれ単独で読めるしむしろこちらの方がよかった。この巻は座業の女流作家がいきなりフルマラソンを目指す話。こう書くと24時間テレビの企画みたいで嫌なんだけど、あれとは全く違った雰囲気で楽しめると思います。ただ、お酒が好きな人限定かも。この本を読む人の中には、ここんとこずっと小説の新刊が出ないことに憤っているファンもいると思うけど、そんな人にこそこれを読んで欲しい。…って作者でもないのに代弁しちゃってますが。
陽気な幽霊 伊集院大介の観光案内 (講談社文庫)栗本薫
伊集院ものとしては、テイストが軽い。作者があとがきで書いていることには、もっと重いものを書く予定だったが、諸般の事情でこうなったそうな。伊集院の大ファンなら。
fの魔弾 (カッパノベルス)柄刀一
「ifの迷宮」は越えられなかった。