ここんとこの読了本

女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)P.D.ジェイムズ
普通に面白く読んでしまったが、途中から女探偵ものであることを失念していたので解説曰くの一番面白いところを普通に読んでしまった。
ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)』J.D.サリンジャー,野崎孝
初読。

300ページ以上かけて、こんなに時間が進まない小説だとは思わなかった。ずっと、主人公ホー君の、回想を交えつつの行動逐一自分語り。まるで、ーパーマリオの古いやつ。マリオが画面の真ん中でずっと横向きのまま飛んだり跳ねたりしていて、背景だけが変わっていく。もしくは舞台で、主人公がずっと真ん中にいて、背後の書割だけが右から左へと動いていく。そんな感じの小説。

これは、中学生か高校生くらいのうちに読んでおかないなら今読んでも仕方なかった。と思う。
子供と大人のハザマで揺れる青年の繊細な心の機微に感動する…べきなんだろうけど、私は別の意味で面白くてしょうがなかった。
主人公ホー君が面白い。友達に取られた(?)昔のガールフレンドに電話しようと思うも何やかや言い訳をつけて結局しない。女の子のことをブスとか頭がいいとか何とか批評するくせに本人は○○。ガールフレンドに衝動的にプロポーズしてあっさり振られると最初からそんなことするつもりじゃなかったと誰に対してか(聞き手の「君」かな)言い訳をする。妹にすら主導権を握られている。などなど。
つまり、彼は、キングオブへなちょこ、なのだ。

蛇足だけどもう一つ、別の解釈。これは、ドグ・マグとか、少女地獄みたいに、全て主人公ホー君の妄想という解釈もできるんじゃないかなどうかな。彼は、例えば漁師とか農夫とかで、ペンシーどころか学校は小学校しか行っていない。家族は両親と祖父母と、兄弟が5人も6人もいる。ある日、船の上かもしくは畑で、雷に打たれるとか蜂にさされるか何かして意識を失って、病院に運ばれて入院したら「君」相手に全く別人の人生を語り始めた、と。