ここんとこの読了本

初恋ソムリエ初野晴
『退出ゲーム』第二弾。シリーズ名は「ハルチカシリーズ」らしいです。シリーズものの第二弾だけど、これだけでも読めると思います。『退出』の時も思ったけど、ラノベというよりは、ジュブナイルな印象。つまり、軽すぎないのでラノベ読者層より上の年齢の人でも楽しめる。文章はチカちゃんの一人称だけど擬似三人称的という意味ではマリみてに通じるものもあるかも。4つの短編が収録されていて、長さもちょうどよく、読みやすい。必ずしも後味のいいラストというわけではないし、何気なく、テーマは重いんだけど、それを感じさせない。最後にほろりとさせられるところは賛否両論あるだろうけど、私はすごく好き。次の『空想オルガン』も楽しみです。
警視庁特捜班ドットジェイピー我孫子武丸
「警視庁特捜班.jp」説明しよう。これは、本物の警察官で組織された特捜部隊の名前だ!(すみません知識がないのでこのへんで).jpのメンバーは5人。ミリタリーおたくの三枝。PCおたくの一ノ瀬。甘いマスクで中身はとんでもない類。(ここまで男)ロリ巨乳の綾。美人スレンダーだが中身は腐ってる、桜田門外子の異名を(隠れて)持っている香蓮。そして"ボス"。…つっても、本当に(?)宇宙から飛来した怪獣と戦うわけではなく、警察のイメージアップのために作られた部隊。それなのに、事件に巻き込まれてしまい、否応なしに5人で戦うことになる。
特撮好きには面白いギミックが仕掛けられているようですが、そういうことに詳しくない私でも楽しめました。一番好きなのはもちろん、香蓮!と、設定は文句なしに面白いのですが、事件がいらない(笑)。とりあえず、本来の任務の広報活動編(そこでちょっとした事件が起こってもいいけれども)があって、その後で今回みたいな本格的(?)な事件編、があったらよかったなぁ。惜しい。5人の中で、一ノ瀬とボスの掘り下げが足りないのでそこんとこも。短編でもいいので続編を期待します。この設定、このまま終わるんじゃもったいない!また読みたいです。(桜田門外子先生の作中作も是非。三枝一ノ瀬で。…それは聞いてないですかそうですかすみません)
ルポ 若者ホームレス (ちくま新書)』飯島裕子,ビッグイシュー基金
ちくま新書の貧困ものはつい買ってしまう。『ルポ最底辺』もすごくよかった。
今回は、若年ホームレスがテーマ。若年(20代から30代)の若年ホームレス50人に取材したルポ。あくまでルポなので、著者の思想思考の押し付けはなく、聞き取った事実が淡々と描かれています。
とりあえず50人の聞き取り調査結果。最終学歴は高卒が42%。主な寝場所は野宿+ネットカフェが66%。転職回数5回以上が54%。初職を辞めた理由(正社員経験者も多い)は別の可能性を探るため56%。就職活動は76%がしていない。依存症傾向は64%がないが、ギャンブル(パチンコ)が28%。
このデータだけ見ても、若年ホームレスが、いわゆる私たちがイメージするホームレスとは違う存在なんじゃないか?というのが見えてこないだろうか。
実家に連絡を取ることができず(現状を知られたくないなどの理由で)無言電話をかけて親の声を聞く若者もいる。
読んでみて、色々と思うところはある。私は彼らと年齢が近いので共感できる部分はあるけれど、できない部分ももちろんある。思うところを書き出したらきりがないけれど、貧困の連鎖、というのは強く感じた。印象に残ったところを引用したい。

母親は再婚し、子供を二人もうけたと聞く。
「「今度は失敗したくない」って言ってました。俺、母親が19歳の時の子どもなんです。「あんたのせいで成人式出られなかったんだから」ってよく聞かされてました。母親にとっては俺の存在も"失敗"の一つなんでしょう」