ここんとこの読了本

貴志祐介新世界より (上)』『新世界より (下)
貴志祐介まつり(個人的)。最新刊も近々読みます。
SFです。SFが得意でない私は、正直、辛かった。『悪の経典』のさらっと読めたのとは対照的にこれは時間かかりました。
冒頭、35歳になった主人公が手記を書く、という出だしで始まります。この時点で読者は物語の世界観を知らされていないので、分からないことだらけです。以降、主人公が12歳の時点からの物語が始まるのですが、世界観を理解するのに手一杯。一応、説明すると、時制は未来の日本。そこには少数の人間と、「バケネズミ」という人間が奴隷化しているネズミが暮らしている。人間は「呪力」といういわば超能力を使う(そのことによって、「呪力」をもたないバケネズミ」を支配している)。そこで色々あって、戦いがあって…、という展開。
読了して、何がしかの感想は持ちましたが、私がこの世界観を理解するには、もう一度読み返さないとだめかも。あと、冒頭の手記は最後に持ってきてくれてもよかった。というのは、手記のおかげで、最後の戦いで生き残る人がわかってしまうのです。
作者が書きたいテーマは何となく分かる(「悪の」から続けて読むと、作者は心理学、それも教育心理学に造形があるのでは、という気がします)んですが、特殊な世界観の説明のために、私にとってはそれが見えづらくなってしまいました。もちろん、テーマのために必要な設定なのですが…。私の理解不足ですみません。
山白朝子 『山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)
240ページ足らずの単行本に7つの短編。ですから1つの物語は短い。白黒で、ナレーションなどの無駄な音がほとんど入らない映像を見ているような短編です。7つ全てをとっても面白い!とは言えない…というか、それぞれ、似ている部分はありますが、それぞれ違うので、7つのなかでお気に入りがあればそれでいいんじゃないかと思います。私は「鳥とファフロッキーズ現象について」が好き。装丁も素敵な一冊でした。
小野不由美ゴーストハント2 人形の檻 (幽BOOKS)
読みごたえはあったけど、話の分かりやすさはリライト前に軍配が。やや冗長な印象。あと、細かいことだけどキャラの口調とか、外国人であるジョンが言うにしては不自然なセリフが気になる。