ここんとこの読了本

北森鴻香菜里屋を知っていますか (講談社文庫)
香菜里屋シリーズラスト。ラストらしく、豪華なフルキャスト勢ぞろいでまさにフィナーレ!という感じ。それはいいんだけどもう、本当にもう絶対新しいものは読めないのが本当に哀しい。でもどこかに香菜里屋はある。
柄刀一消滅島RPGマーダー―長編痛快ミステリー (ノン・ノベル―天才・竜之介がゆく! (844))』『UFOの捕まえ方―天才・龍之介がゆく! (ノン・ノベル)
RPGは長編。詳細に描写してると見せかけて読者にはある事実を伏せている。そのことが明かされたとき事件は一気に解決する。という趣向は分かるんだけど、文章で視覚的なイメージをつかみにくい。これは私の相性かもしれないが。UFOは短編集。プラス長編。最初は中篇の予定だったそうだが枚数を大幅にオーバーしたらしい。正直、そこまでか?という感じがするのだが。
藤本泉時をきざむ潮 (講談社文庫 ふ 10-1)
東北を舞台にした暗いミステリ。乱歩少受賞作。主人公は高館という刑事だけれど、実質的な主人公は白蟹村という閉鎖的な村。それだけ聞けば横溝っぽい気がするが、これを読むと、横溝の作風は「陽」なのがわかる。作者は女性だそうだが、物語の筋とは無関係に、男性に対するそこはかとない悪意を感じる描写がある気がする。ところでこの作者は初読みだけど、篠田節子聖域 (講談社文庫)』のモデルらしいのでこちらも近々再読する。こういう、暗くてちょっと淫猥な感じの、わりと好みかも。
赤木智弘若者を見殺しにする国 (朝日文庫)
話題になった当時はいまいち付いていけてなかったので例の文章もこの文庫で初めて読みました。文章は、思ったほど過激ではなかったです。肯定するかどうかはともかく、言っていることの意味は分かります。この文章に対して著名人(本当にすごい著名人たち)から反論やら何やらあったらしく、この文庫でそれにレスを返す形になっているけれど、そもそも彼ら(と、著名人でない人たちも)この文章を理解できたんだろうか?単純に、ロスジェネの若者(という表現をするのもそろそろ苦しい)がクーデターでも起こすんじゃないかと思ってたんじゃないかな。
私が読んで思ったことは、努力と、能力と、運は、それぞれ全く違うようでいて、ちょっとずつ関連もある。だから自己責任というつもりではないのだけれど。