ここんとこの読了本

雨宮処凛生きさせろ!難民化する若者たち (ちくま文庫)
やっぱこれは読んでおかなきゃと思って手に取ったが、悲壮感よりも面白さが際立っていた。いや、内容はもちろん深刻なのだけれど。特に「貧乏人大反乱」の話は電車の中で思わず噴き出してしまった「お前、貧乏の人間だろ!」って(笑)。
秋葉原の事件への言及も、当時のどのマスコミの報道より納得がいった。彼があそこであんな事件を起こさなければ、年越し派遣村で豚汁(かどうかは分からないが)をふるまわれていたかもしれない。…これは、皮肉なんだと思う。
最終章の杉田さんのインタビューにあった税金アレルギーの話に激しく同意した。ちょっと引用する。(北欧の税金が高い国と比較して)

日本の場合、税金はただ『一方的に取られるもの』という感覚、ほとんど自然災害というか、そういうどうにもならないって感覚が強くて、自分たちで国家を運営しデザインしているっていう感覚が弱いのかなあと。

税金が何に使われているのかということには、かなり無関心。これは国が敢えてそうしてきたというのもあるだろうけどそれに乗っかって知らないままでいて、ちょっとした生活保護の不正受給に目くじらを立てるのは違うと思う。これから、消費税増税でますますそういう声が高まるのかもしれないけど、税金が、何に、どれくらい使われているのか。公務員や国会議員の給料は実際どれくらいで、その全体の割合はどれくらいなのか。それをちゃんと知って、納得した上で納税したい。どうせ納めるならその方がいいでしょ。
今、学校でフリーターにならないための教育をしているとありましたが本当なんでしょうか。そんな若者にこそこれを読んでもらいたいと思います。
大阪圭吉『とむらい機関車 (創元推理文庫)
さすがに「とむらい」は以前どこかで読んだことありました。…それ以外は正直いまいち…と思いきや「あやつり裁判」あたりから面白くなり「坑鬼」は確かに傑作でした。これがこんな昔に書かれたということからしてすごい。でも本当に面白いのは巻末のエッセイだったかもしれない。「幻影城の番人」や「お玉杓子の話」が書かれたのが100年前だなんて!ミステリ界は100年前から同じようなことばかり言ってるのか?次の「頭のスイッチ」はウィキペディア地獄に通じる。他のエッセイもこれ自体が秀逸な短編小説のような味わいがある。戦没された作家だそうですが返す返すも惜しいものです。