ここんとこの読了本

日明恩ロード&ゴー
メフィスト賞作家の日明恩が舞台を双葉社に移して活躍していたことを最近知りました。舞台がちょっとずつリンクしているのでこの作品は「生田の兄貴」が主役。東京消防庁及び消防救急の薀蓄(と感じさせない)を織り交ぜつつ、今まで以上にスリリングな物語展開でページをめくる手が止まらない。…若干、突っ込みどころはあるけど、勢いがあるのでいいか。やや残念なのは、無線傍受の女の子が事件に関わらないままだったこと。この親子のエピソードはよかっただけにこの物語で使ってしまうのは勿体無い気がしました。最後に雄大とその盟友がちょこっと登場するサービスもあり。絵が浮かぶだけに面白い。生田の兄貴もいい男っすね。武本工務店の息子の話も是非読みたいです。
乾くるみ林真紅郎と五つの謎 (カッパ・ノベルス)
藤本泉地図にない谷 (徳間文庫)
ストーリーとは関係ないんだけど、少し引用します。

今まで気付かなかった足もとに、実は、きわめて危険なものがあった。それをなぜ、今まで見て見ぬふり(まさにそうだ。うすうす、聞いてはいたのだが、おれは関心を持たなかった。おれは外にばかり視線を向けていた)していたのか。おれは、それが不思議だ。

1971年乱歩賞候補作で結局この年は受賞作なしだったのだけれど、なんだか今読むとまるで原発のことを言われているような気がします。