12月の読書メーター

12月の読書メーター読んだ本の数:21読んだページ数:6479ナイス数:111さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4 (角川文庫)さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4 (角川文庫)読了日:12月29日 著者:河野 裕
ヘルプマン!! Vol.6ヘルプマン!! Vol.6感想介護マンガの先駆者として多くのタブーに踏み込んでいるこのシリーズ。最近の騒動より前に高齢者ドライバー問題は取り上げているので興味ある人は是非。さて今回は「老いらくの恋」恋をする自由は誰にでも当然ある。ただ高齢者の場合、越えなきゃいけないハードルが高すぎる。認知などの疾患、家族の理解。運転すれば人を殺し、散歩すれば踏切事故を起こす認知症の老人は、家や施設に閉じ込めておくしかないんでしょうか。みんな、このマンガを読んで考えてほしいな。読了日:12月29日 著者:くさか里樹
鞄図書館3鞄図書館3感想今回も満足。作者には本をテーマにした別のシリーズもあるけれど、どちらも、ネタ元を読んでみたくなる。既読だと読み返したくなる(「え?そんなに面白い本だったっけ!?」と思うこともしばし)。本って、数読めばいいもんじゃない。多くの人が薦めるものが必ずしも合うとは限らない。そもそも人が一生のうち読める本の数なんてたかが知れてるんだから、できるだけ、いい出会いをしたい。そんな風に思っている人は是非これを手に取ってみたらいいと思う。読了日:12月28日 著者:芳崎 せいむ
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)感想読み始めた時から思っていたけれど、私たちは昭和20年8月に起きたこと知ってる。この物語が史実を元にしている以上、避けて通れない。この悲劇が少しでも、すずをはじめとする周りの人たちが不幸にならないことをただただ願いながらページを進めた。下巻の好きな台詞はすずの「何でもええですよ 何でも足らんのですけえ」。あと、下巻の見どころは何と言っても「鬼イチャン冒険記」。また、上巻から読み返したくなります。何度も。読了日:12月27日 著者:こうの 史代
この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)感想映像は一つも見てないのに、マンガを読むだけで脳内アテレコされます。径子さんはキムラ緑子さんで再生。読み返して気付いたけど台詞が殆どないサイレントの回も多いので、外国人の方でも分かりやすいんじゃないでしょうか。中巻のベストシーンは34ページ。「過ぎた事 選ばんかった道 みな覚めた夢と変わりやせんな」109ページ、茶碗に雪を乗せるシーンは宮沢賢治の『永訣の朝』を思い出した。
読了日:12月27日 著者:こうの 史代
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)感想物語を追うために一読。細かいところもよく見ながら再読。絵をよく見ながら再々読。もっと細かいところを注意深く見ながら再々々読。絵を味わいながら再々々々読。下巻まで読んで戻って再々々々々読。いつまでも終わりません。印象的な場面を挙げたらキリがないが、127ページ。周作母の「大ごとじゃ思えた頃がなつかしいわ」です。読了日:12月27日 著者:こうの 史代
あのころの未来―星新一の預言 (新潮文庫)あのころの未来―星新一の預言 (新潮文庫)感想星新一の作品を通して、現在の社会問題が提起される構成。私は、星新一は、子供の頃読んだけれどさほど夢中にはならなかったので改めて作品の魅力に触れることが多かった。この作品で最も印象的だったのは、星新一が作品を作る上でできるだけ流行語や時代や場所が特定できるものを排除して物語を作ったということ。それって、物語の核というか幹じゃないかと思った。ついディティールに目くらませられてしまうけど、そこで勝負した星新一は本当にすごい。読了日:12月27日 著者:最相 葉月
【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』優秀賞受賞作】 たまらなくグッドバイ【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』優秀賞受賞作】 たまらなくグッドバイ感想五賞用。C。『ゴドーを待ちながら』や『私が語りはじめた彼は』等にみられる、中心となる人を様々な人が語り、人物像を浮かび上がらせる手法。この作品はそれに+α作中作を仕込んでいる。密室で死んでいた名投手KMは八百長をしたのか、自殺か他殺かという謎は魅力的。凝った構成。文章も読みやすい。この構成の理由は、真実を読者にだけ提示して、作中作では嘘をつきたかったと想像するが…もう少し、全体的に分かりやすくできないんだろうか。「あたし」と「芹澤」の人物も見えづらい。「書かなくても分かるでしょ」感が漂いすぎて不親切。読了日:12月27日 著者:大津 光央
【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 神の値段【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 神の値段感想五賞用。B。現代美術もの。現代美術の不思議な世界を垣間見ることができてそれだけでも面白かった。唯子の死の謎を解くのがミステリでは主眼のはずだけど、主人公がオーナーなき画廊のその後を引き継いで東奔西走するというのは、探偵にだけ専念するよりリアリティがあると思った。というよりこの物語のメインの謎は唯子の死より無名の正体だし。その正体をあのように描いたのは正直、素人離れしていると思った。美術ミステリーは先駆者が多いけど、是非次回作も読みたい。読了日:12月21日 著者:一色 さゆり
優しい死神の飼い方 (光文社文庫)優しい死神の飼い方 (光文社文庫)感想死神レオが患者の未練を謎解きする場面は伏線がなさすぎて強引な印象だがこの物語の主眼はそこではないのだからまぁいいか。それより、医者としての視点が「終末医療」だろう。長生きでもそうでなくても、人は、必ず死ぬ。中には事故や突然の病気でその覚悟もなく召されてしまう人もいる。幸いなのかどうか、死までの時間を与えられたら。そのための施設がホスピス。この考え方はまだ新しくて、医療介護その他の分野で発展途上だと思う。実際、答えはないわけだし。私は「自分がされたら嬉しいことをする」が基本かなと思ってる。読了日:12月20日 著者:知念 実希人
【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】ブラック・ヴィーナス 投資の女神【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】ブラック・ヴィーナス 投資の女神感想五賞用。B。茜は黒女神と異名をとる天才ディーラー。そこに身内を救われた元信金マンの良太が相棒として付き添う。大きなお金が絡むから、非合法組織や政治家も登場する…割にはあまりどろどろしていない。、株取引が小説の重要なパーツだけど、その蘊蓄に枚数を割かないで素人でも分かる物語にしてくれたのはありがたいが経済小説だと思うと物足りなさは否めないだろう。読みやすかったが全体的に薄味。二時間ドラマの原作だと思えばまあいいか…。読了日:12月18日 著者:城山 真一
監殺 警務部警務課SG班監殺 警務部警務課SG班感想警察官の不正を暴く監察という制度はあるけれどもそれが警察内部にあるという矛盾。警察の不祥事をテーマにした物語は小説ドラマ数多くあれど、他の作品と一線を画すのは警察組織の描写が圧倒的にリアルなこと。心理面と組織図と。作者の前歴から勝手に不穏な想像をして恐縮だが絶対に実現しないが一つの夢ではあったんだろう。テーマは重く、正直、読後感はよくないが途中、必殺仕事人な描写や魅力的なSG班の面々(みんなスキル高すぎだろう)のおかげで救われる。前後は問わないが光文社新書の「残念な警察官」も併せて読むべし。読了日:12月17日 著者:古野 まほろ
花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)感想五賞用。B。琥珀が魅力的(イケメンだし笛も上手だし)なのは分かるが主人公の八重の魅力がいまいちで、琥珀が八重にフォーリンラブした動機がいまいち。過去のエピソードも後出しだし。八重の苦しい恋の話もそんなに苦しんでいるようには感じられなかった。最後は犯人を罠にはめるわけだが、うまくいきすぎてさすがにご都合主義ではないかという気もする。着物を絡めた日常の謎系(シュシュの話)と、窃盗(辻が花)という大きな犯罪の物語とのバランスが悪い。琥珀があまりにスーパーマンなのでその能力は魅力的な脇役に分散してもいいのでは。読了日:12月13日 著者:春坂 咲月
ブラックナイトパレード 1 (ヤングジャンプコミックス)ブラックナイトパレード 1 (ヤングジャンプコミックス)読了日:12月11日 著者:中村 光
星宿る虫星宿る虫感想五賞用。C。類型の物語は幾つもあり、それらと比べても出来はいまいち。このジャンルで今出すならなら+αの要素が必要では(それがロボットかと思ったがいまいち絡んでこなかった)。文章も読みづらいし、おぞましい虫の描写もさほど背筋はぞっとさせられなかった。それよりも、玲子の過去の描写が壮絶。詰め込みすぎなのかなぁ。読了日:12月11日 著者:嶺里 俊介
凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)感想魔女の正体と、魔女の座を狙う"悪い魔女"との攻防。そして、大地の問題が絡む。大地のことで心を砕く七草と真辺だけれどもそのアプローチは全く異なっている…ように見えて、最初と最後は同じなのかもしれない。二人とも、相手を尊敬して信頼しているけれども依存しているわけではない。七草と真辺が一緒にいるためにはどうしたらいいんだろう。一つの答えが七草と堀の関係性であるが、それは七草によって破綻された…した。大人になるために、捨てなければならないもの、無意識に捨ててしまったもの。それは本当に価値がないものだったのか。 読了日:12月10日 著者:河野 裕
レプリカたちの夜レプリカたちの夜感想五賞用。んーーーB。っていうかなんだこれ?糖質の書いた文章たいで評価できない。自我が崩壊していく感じは『首長竜』と似ていなくもないが。私は誰?私は私。な小説と言えばよいのか。人間にだけ自我があり動物界の頂点という考え方が間違ってるというかそんな証明は誰にもできないよね、というのが大きなテーマの一つだと思う。最初にうみみずがその内容の長い演説をしたのには興味ひかれたが同じようなことを繰り返しすぎてしつこい。ギリギリ、小説と言えなくもないが………読了日:12月09日 著者:一條 次郎
首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)感想この前、コンビニの前でリンゴジュース飲んでたら、死にかけたカミキリ虫がいて。試しにリンゴジュースを口許に垂らしたらそのあとむくむく動き出してどっか行った。それとは別の日にうちの玄関の傘立てのとこにカマキリがいて、傘立てを揺らしたら動いたけど逃げる気配はなかった。それきり忘れてたんだけど、後日家族からそのカマキリが死んでたことを知った。彼らにとって私は神様みたいなもんだっただろうな。文庫で再読。短編集ということで色々と実験的な様子が伺える。クワガタ好きな作家の、神様の話がとても印象的だった。読了日:12月09日 著者:伊坂 幸太郎
悪魔を憐れむ悪魔を憐れむ感想いつまでも学生のままでいるような気がしていた、タックタカチと愉快な仲間たちはいつの間にか進路を決めて未来へ向かって行くのね。肝臓に気をつけてほしい。それはともかく、最初の物語で、西澤作品だと最初から百合オチは織り込み済みとはいえ、そこまで強引にしなくてもと思った。最後の物語は蔵書を売ればよかったんじゃ?と思ったけど作家としてそれは書きたくなかったのか。どれもこれも後味悪くて最高です。読了日:12月04日 著者:西澤 保彦
機械仕掛けの選択 サクラダリセット3 (角川文庫)機械仕掛けの選択 サクラダリセット3 (角川文庫)感想全部で7巻だから菫のことはもう少し引っ張るかと思ったけど、ケイやハルキの過去から菫との出会いそして復活までこの巻で一気に来た!本当に予備知識なしで読んでるのでこの先の刊行も楽しみです。読了日:12月03日 著者:河野 裕
ジェリーフィッシュは凍らないジェリーフィッシュは凍らない感想五賞用。A。ジェリーフィッシュが何なのか、最初、少し分かりづらかった。舞台設定はSF的でとっつきづらいけれど、以降はむしろ古典的なミステリ。現在進行形の大きな謎(そして誰もいなくなった!)とそれに絡む過去の事件を捜査する魅力的な警察官2名。リーダビリティよし、謎の解決に余韻を持たせたところよし、キャラよし。敢えて言えば、キーパーソンのキャラが見えづらかったところが難だろうか。
個人的に、作者の作品は幾つか読んできているので、もう少し軽いノリのも読みたいと思った。読了日:12月01日 著者:市川 憂人
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