『テレヴィジョン・シティ〈上〉』長野まゆみ

積読本。長野まゆみは大昔に『少年アリス』を読んだような気がするが、覚えていない。というわけで長野初読みに近かったわけだが、正直、なんだこりゃ?(@_@)でした。
舞台はSFというのだろうか?コンピュータ管理されたビルディングで暮らす少年たちの一人「アナナス」が主人公。ただし、主人公は二重人格なのか記憶喪失なのか定かではないがいろいろなことを忘れてしまっている。ルームメイトの「イーイー」が知っているらしいが教えてはくれない。
アナナスが忘れてしまっている(?)世界の仕組みや「クロス」などの言葉の意味するところが、最終的に読者の前に全て提示されることを期待して読んでいたが、それは一切ない。私は上巻の時点で「これは近未来都市のように描かれているが、彼らは植物のクローンであり、人間ではないのではないか」という推理すらしていたのに。(その由来はママの名前がダリアやリリィなどの花の名前であるという根拠による)結果は、そのような部分は説明されないのでそのように読んでも間違いではないかもしれない・・・・というところか?ミステリ慣れしてしまった私の読み方が間違っているのかもしれないが、かなり、肩透かしをくらってしまった。
また、ラストでアナナスやイーイーに何がおきたのかも理解できなかった(思わず、それを解説しているものがないかと古いかつくらを参照してみたが見つけることはできなかった)。結局、作者が描きたかったのは、世界観と少年たちだけだったということなのだろうか?近未来的舞台設定と作者の使う独特の言葉遣いが合致せず、気持ち悪かった。