8月の読了本

幽霊鉄仮面 (角川スニーカー文庫)横溝正史
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)』村上 春樹
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)』村上 春樹
三四郎はそれから門を出た』三浦 しをん
失はれる物語乙一
天使の梯子 Angel's Ladder』村山 由佳
ペートリ・ハイル!―あるいは妻を騙して釣りに行く方法』浅暮 三文
フランス白粉の謎 (創元推理文庫 104-6)エラリー・クイーン
NHKにようこそ! (角川文庫)』滝本 竜彦
火の神の熱い夏 (光文社文庫)』 柄刀 一
誰か Somebody (カッパノベルス)』宮部 みゆき
テツはこう乗る 鉄ちゃん気分の鉄道旅 (光文社新書)』野田 隆
怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)』三遊亭 円朝
超人計画 (角川文庫)』滝本 竜彦

適当感想。


『幽霊』横溝のジュブナイル作品。乱歩の「少年探偵団」みたいなもの。スニーカー文庫。イラストはJET。扉絵が妖艶なのはさすがJET。ジュブナイルなので横溝らしさはあまりないかもしれません。
『世界の』初村上春樹村上春樹だから許されるのだろうが、素人が書いたらただの下手な作文。徹底的に感情を排した文章は慣れると快感…かもしれない。
三四郎』本が好きで、本に全てを捧げてきた作家のエッセイ。今までのエッセイより、本に関することが多く書かれているけれどテイストは変わらず。
『失はれる』書き下ろしのために買ったのに、書き下ろしが一番つまらなかった。他は全てよい。あとがきの潔さがいい。
『天使』『卵』の数年後。『卵』を愛していたら読まないほうがいい。
『ペートリ』釣りエッセイ。釣りを知らなくても楽しめるし、装丁も素敵。サブタイトルにある「妻を騙して」のハウツー本ではないので、注意。
『フランス』多くのミステリは「誰が」「どうやって」を解決するために書かれているが、クイーンは「立証」が最終目的。だからクイーン親子は犯人も手段も判明しているのにまだ動く。今回は微妙にアンフェア…かもしれない。
NHK』ネタと地と紙一重のところで展開される物語。文章やキャラクターに妙に魅力があって、苦笑いをしつつ、読み進めてしまう。
『火の神』端正で秀逸な本格。夏休み、別荘、憧れの叔母。そして火事、殺人。あの夏はもう返ってこない。そんな夏の終りに。
『誰か』主人公の男性の鬱屈した思いが随所で語られている割にはそれが必ずしも物語に必然と絡んでこないので、読了して「?」となったが、これはこれでいいのか。若竹七海近藤史恵と通じつつも違う、人の「悪意」が描かれている。結局「悪人」なんていない。「善人」がいないのと同じように。そんなことを思いました。
『テツ』テツじゃないけど、電車は好き。テツじゃないけど、変わった柄のパスネットは欲しい。テツじゃないけど珍しい車両を見ると嬉しい。そんなあなたにオススメの本。車両は、反対側のホームから撮影するのが基本だそうです。
『牡丹』怪談、とあるけれど、最後は人情噺。最後の方はぐだぐだ気味かも。最初の話が怪談らしくてよかった。
『超人』エッセイ…?NHKとの相違点を挙げよ、という感ですが、サービス精神旺盛なので、とても面白い。キモヲタを演じてるけど、見目が裏切ってると思う。ハゲもネタなんじゃ?スキンヘッドにしてしまえば真偽は不明だし、ハゲてないのにハゲという人はいないという思い込みを逆手に取った身を張ったネタという可能性は、ない?