9月の読了本

悪霊島 上』横溝正史【bk1】
悪霊島 下』横溝正史【bk1】
『神様からひと言』荻原浩【bk1】
下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん 』嶽本野ばら【bk1】
『タクティカル・ジャッジメント 逆転のトリック・スター!』師走トオル【bk1】
『あんただけ死なない』森奈津子【bk1】
パスカルの鼻は長かった』小峰元→【bk1】
『少年名探偵虹北恭助の冒険』はやみねかおる【bk1】
『ねらわれた街 テレパシー少女「蘭」事件ノート』あさのあつこ【bk1】
『くらやみ砂絵 なめくじ長屋捕物さわぎ 』都筑道夫【bk1】
『私が語りはじめた彼は』三浦しをん【bk1】

適当感想


悪霊島』JETの漫画版を読んだ後に原作読了。漫画は純愛になっているけれど、原作は野心家の竜平と狂気の巴の物語となっている。磯川警部の過去も読みどころ。結ばれなかったロミオとジュリエットが再会したことによる悲劇の物語。横溝作品に登場する美女の中ではお気に入り。栗山千明では演じられそうにありません。
『神様からひと言』荻原浩二冊目(一冊目は『コールドゲーム』)。軽妙で卓越した文章はコピーライターならでは。悪人も善人も普通の人もいる。物語なら大団円を迎えて欲しいところだけれど、必ずしもそうならないところが、この作品の魅力かな。女性像はちょっと、ステロタイプすぎるから、会社員の男性にオススメ。
『下妻』作者初読み。アクが強くて読みづらい文章を書く人かと思っていたら全く、そんなことはなく、面白くて一気に読んでしまった。兵庫の尼崎及び茨城の下妻在住の人は読まないほうがいいかもしれないけれど。リアルさと夢物語がごちゃまぜになっていて、それが物語のいいリズムになっている。語り手の、誰に呼びかけているんだ?という視線がいい。(漫画で、意味もなくカメラ目線になるのと同じか)彼らは異端かもしれないけれど、自分の世界に閉じていない異端。
『タクティカル』面白いラノベに挙げられていたので読んでみた。元はゲームだったっけ?いかにもそれらしい。女性が書いたら弁護士と探偵のBLになるだろうな…。ヒロインの造形が弱いのが気になるところ。
『あんただけ』短いホラー。ストーリーに直接関係ない秋也という少年がいい。森奈津子異類婚姻譚を書くとこうなった、という感じか。
パスカル』小峰元講談社文庫復刊記念で、積読を消化。解説にもある通りこれはミステリ色がかなり薄い。が、一年(度)に亘って一つの事件を描いたのだからそれも仕方がないかもしれない。ある年齢層の人が読むと、懐かしくて面白いのでしょう。
『虹北』日常の謎系。夢水ものに頻出する過去作品へのオマージュ的記述が、この作品には少なくて安心して読めた。イラストもいいです。この年齢の子どもの男の子と女の子の力関係の描き方は、さすが教師。ハートフルな読後感なので、安心して読めます。
『ねらわれた』こちらはあさのあつこによるジュブナイル。対象年齢の割にはかなり毒が多いと思う。超能力を使って事件を解決するわけでは(あまり)ないのでご安心を。
『くらやみ』都筑道夫初読み。(都築区の都築だと思ってた)解説が北村薫でラッキー。探偵役のセンセイは、お金のためなら動く。意味もなく事件に首をつっこんだりするより、かなり分かりやすい。正義感を振りかざさない、庶民の味方(?)の探偵のセンセイと長屋の仲間の活躍をこれからも読んでみたい。
『私が語り』「村川融」という、一人の大学教授ををめぐった6つの短編。本人は、回想シーンなどで登場するだけで、特に出番はない。結局、彼とは何者だったのか。これを読んで、私もまた、語りたくなる。その時に、ラストの一文を言ってくれるような人が側にいて欲しい。