『高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫)』『高慢と偏見〈下〉 (岩波文庫)』ジェーンオースティン, Jane Austen, 富田彬

/「所はのどかなハーフォードシア。ベネット家には五人の娘がいる。その近所に独身の資産家ビングリーが越してきた」(文庫表紙の紹介文ママ)。
翻訳ものな上に5人姉妹!?細雪の4人ですら混乱したのに無理無理。と心配することはありません。主人公は次女エリザベス。それに長女のジェーンと、ビングリー氏ととの友人のダーシー氏が主な登場人物。物語は、この4人が無事結婚するまでの紆余曲折。ちなみに題名の「高慢」は「プライド」の訳のようです。
上下巻で長いし、人が殺されるわけでもない日常の物語だけれども読み始めると何故か止まらない。ただし、女性限定かも。ご近所のよしなしごとや独身の娘を抱える家の母親の態度というのは国や時代を超えて普遍的なものであることよ、と思われます。
雰囲気としては、細雪+若草物語と言えば分かりやすいかな。次女のエリザベスは若草物語の3女と同じ名前だけれど雰囲気は次女のジョゼフィーヌを想像してもらえれば、近い。長女のジェーンはそのままマーガレット。下から2番目のキッティは細雪の末娘。真ん中のメアリは読書家なんだけど、それが好意的に描かれていないところが面白い。岩波文庫、題名の「高慢と偏見」で難しい話を期待(?)すると拍子抜けするでしょう。