『百年の誤読 (ちくま文庫)』岡野宏文, 豊崎由美

/題名の通り、1900年から2000年頃にかけてのベストセラーを岡野氏と豊崎氏が対談形式でメッタ斬りする内容。文学に限らず、ハウツー本も対象。ハウツーなどは、後年に読み返せば嘲笑を免れないと思いますが、文学もその例に漏れず。そもそも価値観や善悪が時代によって変化するのは当然のことなので当時のベストセラーが現在、読むに耐えるとは限らないのですね。文学史に登場するような作品もメッタ斬りするところは痛快ではありますが、文学の好みは人それぞれだと思うので、自分でも読んでみてから評価を決めて欲しいと思います。『細雪』はお二方とも絶賛されてて、私も好きな作品だけど、好みで評価は分かれると思う。田山花袋の『蒲団』の読み方は私も同じだったけど。二人が高評価している佐藤春夫は私はいまいち。とはいえ褒めてる作品もあるので、私はとりあえず『もものかんづめ』は読んでみてもいいかなぁと思いました。