ここんとこの読了本

吉祥寺の朝日奈くん中田永一
5編収録。「三角形」はBL的展開を期待したのですが。とはいえよく考えるとそれより「ラクガキ」の方がそれっぽい。「おなか」は自意識過剰気味な主人公の女子高生像がとてもよかった。表題作は、何となく途中で仕掛けに気付いてしまうけれども、ある意味読者を裏切る展開かもしれない。最後のシーンは本当によかった。子供を伏線の補助的役割に使うのは前作もありましたね。続けて読むと見えてきちゃうことが多いかも。
前巷説百物語 (角川文庫)京極夏彦
このシリーズは刊行順とシリーズの時間軸がややこしい。これは4作目にして時間軸は一番最初。ということでおなじみの又市の若い頃のお話。それを強調するかのように周りから「青い」と言われます。物語は、分かりやすく言うと必殺で、晴らせぬ恨み、晴らして…ということになるけど、事はそう単純でもない。6編収録のうち、最初の2編は笑って読めるかもしれないが、3作目くらいから雲行きが妖しくなってくる。厚さはありますが、それだけじゃなくて読み応えのある一冊で、また、シリーズを読み返したくなります。解説でネタバレがあるので注意!