ここんとこの読了本

近藤史恵モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス)』『タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)
ちゅうわけで、中毒性のある近藤史恵
「モップ」は基本的に日常の謎もの、でいいのかな。短編は特に、登場人物も少ないし、結末が予想できるものも多い。それはそれで予想通りの結末にどう持っていくかという読み方も楽しい。けれど、この作品集は、大筋はある程度予想通りだけれど、過程や、ちょっとしたエピソードで読者の予想を裏切ってくれるのでそこも面白い。また、最後の一遍がある意味予想外なので、その枚数の少なさも含めてちょっと意外。全て高レベルの素敵な短編集でした。 
「タルト」は装丁も含めてオシャレな一冊。素敵なレストランに行ってきたような。もちろん作者のことだから、ただ甘いだけの物語じゃないくて、物語にたとえれば味があるというんでしょうか。ところで俳句が趣味の金子さんのエピソードが浮いているような気がしますが、使いどころがなかったのかしら?
伊集院光のはなしに?カニの巻? (宝島社文庫)
再読(単行本で一度読んでいるから)。好きなお話は…と選ぼうとするとついまた読みふけってしまう。冒頭の「アウトセーフ」はボリュームもあるし短編小説のようで、とてもいい出来だけど、それゆえに痛すぎて私はあまりちゃんと読めない。でも好きな話の一つ。「居場所」や「大人の階段」や「盗んだ金」「リバーサイド」は、なんかこう、難しい解釈をしようと思えばいくらでもできそう。するのは野暮だろうけれども。B氏のエピソードもいい。B氏のことを私はよく知らないが、彼についてのエピソードを別の漫画で読んだことがある。こちらでも同じような素敵なお話になっていて、生前の人徳が偲ばれるというものです。「新聞」「人として」「ひどい世の中」「優柔不断」「んまーい!」これらはすっごく同意するけどあまり同じことを言っているひとを見かけない。「粗大ゴミ」はソファの買い替えというだけの話を巧に野球に喩えていて面白い。野球好きの作者ならでわ。ってこういう書評風の感想いやだなぁ。「タクシー」は続編希望。「ブス」「変な子供」「矢印」(←特にコレお気に入り。再読でも吹いた)は笑ったなぁ。いい話は「香港」。とまぁほとんど全部、面白かったり素敵だったり笑えたり同意したりそれら全部コミコミで楽しめます。
有川浩図書館戦争
有川浩。ついに読んでしまった。
世間で絶賛されてる作品を読むのは勇気がいる。期待度が否が応にも上がってしまうから。でもこれは世間の評価も納得の面白さだった。
対象年齢は、いわゆる図書館で言うところのヤングアダルトから大人。だから読みやすいし物語の展開もわかりやすいけれどテーマは深い。むしろ今の方が時事的に合致しているかもしらん。敢えて難を言えば、作者の文章の癖で、肯定と書くところを否定を重ねることで表現する箇所がしばしば見られた。これ普通に書けばいいんじゃない?と思ったこと。それくらいかな。いよいよ文庫化なので続編をこれまた楽しみに読みます。