ここんとこの読了本

菅野彰,南野ましろ帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (2)
壁井ユカコサマーサイダー
暗い、夏の話。「向日葵の咲かない夏」が好きな人に。
島田荘司涙流れるままに (上) (カッパ・ノベルス)』『涙流れるままに (下) (カッパ・ノベルス)
警察や検察や司法は、決して間違えないものだと、盲目的に信じていた。けれど、間違いが起こったときに、それを検証する機関や制度がない(もしくは機能していない)としたらそれの方がずっと恐ろしいことだ。
山崎豊子沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)』『沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)』『沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)』『沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)』『沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
沢山のことを考えさせられた。全部をここに書くことはできないし、言葉になっていない部分もある。単純に疑問なのは、整備士やパイロットという、空の安全に直接関わる従業員を冷遇(…という表現も少し違うのだけれど)しながら、彼らが整備し、操縦する飛行機に日常的に乗ることに疑問を感じていないところ。また、共産党に対する忌避感が滑稽に見える。(その後の世界情勢の変化もあるので当時の空気はこういう感じだったんだろうか)腐りきった組織は一度徹底的に破壊(改革)しないと健全にはならないんだろうが、そのハードルのなんと高いことよ。この国の姿の縮図なのかもしれないと思うと暗澹たる気持ちになる。
三浦哲郎流燈記
1983年〜1985年に連載されていた作品。未完と思う。『海の道』『十五歳の周囲』の「戦争もの」になるだろうか。司修の装丁が素敵。作者は思うところがあるかもしれないが、読める形にしていただけたのは嬉しい。
辻村深月スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)』『スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)
辻村深月柳美里三浦哲郎。私が好んで読む作家ということ以外に共通点はない。敢えてミッシングリンクをつなげてみると、自分のことを題材にした作品が多い、ということじゃないかと思う。中でも最も「私が私が」という我が強いのが辻村だと思う。